乙川祭礼 殿海道山

祭禮行事の紹介
festival

若家(わかや)開き

若家と呼ばれる山車組の事務所的な場所の開場及び決起集会。毎年2月の初めの土曜日に行われこの行事を皮切りに乙川祭りが始まっていく。 過去には若家とは別に中老行司だけが集まれる部屋を設けて打ち合わせ等を行う中老部屋が存在した。

御定目録送りの儀

その年の山本宅へ祭礼の概ね二週間前の日柄の良いに日に御定目録※1の入った木箱、樽酒を全役員がそれぞれの役提灯を持って行列を作り伺う。道中では伊勢音頭を歌いながら進むのも特徴。山本宅に到着後囃子方の演目披露を行い、山本より見舞金の贈呈、山本挨拶、組長挨拶が行われ、その後鏡割り、宴席を設ける。また山本宅周辺にはご近所の皆さんや子供さんが沢山集まり、お菓子などが配られお祝いムードに包まれる。 ※1:御定目録とは山本がすべき事が書いてある書物と言われている。御定目箱には他に大正8年頃からの山本、中老行司及び役員名簿や会議の議事録が収められいて、現在も脈々と続いている。その箱は山本と組長だけが開くことができる。

御幣交付の儀

祭礼の始楽(初日)の朝5時ごろに八幡神社で「大祓式」が行われる。その後宮司より各山の山本へご祈祷された御幣を交付される儀式。御幣とは山車の後ろから見て右側の上に配置される太い竹。その御幣は祭礼前日に各山の中老長により選ばれる。

山祈祷の儀

山本宅において祭礼期間中に怪我やトラブルが起きないようにと宮司に祈祷してもらう儀式。交付された御幣を山車の前に配置をして儀式を行い、最後は祭壇に設けた塩を宮司により山車の四隅、山役員の足元に振りかけてもらい安全を祈願する。

地離れの儀

山本宅での山祈祷、神酒開きが終わった後いよいよ祭礼へと山車を向かわせる事。山本宅を神聖な場とし、そこから巣立つ意味を示し、浅井山より『只今地離れ致しました』と、報告を受け殿海道山は南山へ地離れの報告をし、四山共有する大切な事。

神酒開きの儀

山祈祷の際に供えたお酒を山本、組長及び山役員の代表に保存委員により汲まれ 三々九度の作法で飲み、供えたスルメを口にする儀式。

山車巡行

乙川祭礼は八幡社の御祭神が御旅所(若宮社)へ渡御し、翌日八幡社へ還御する祭りの形態です。 山車は八幡社の御祭神が降霊された神輿の警固のために曳かれるものです。 従って神輿の巡行経路と山車の巡行経路は同一の筈であるが、現在は道路事情もあり神輿 と山車の巡行経路に一部違いが生じている。

<山車巡行初日:「始楽」(基本的に3月の第3土曜日)>

早朝4時頃「空車」と言われる装飾をしていない山車が鞘から曳き出され、山本宅に横付 けされる。そこで山飾りを完成し山祈祷・地離れの儀が行われ、乙川祭礼が始まる。山本から曳き出し、八幡社参道に整列した後に坂上げ※2、神事執行、坂下し※3を行う。 その後乙川駅交差点から北行し、若宮社に曳き込まれる。 夜になると提灯飾りをした山車が元薬師※4に整列し宵宮(試楽)が行われ、その後鞘に 納められる。

打込み

始楽(初日)の夕方に若宮神社へ各山の山車に乗っていた御幣と高張提灯を預ける 御幣は八幡神社より御神体を運んで来た神輿へ預け夜を越す その際には各山からお籠もりさんと称される代表一名が警備をする 夜が明け本楽(二日目)の日を迎え各山の役員、囃子方が集い各山の「神楽」が披露され、その後氏子総代より赤法被(中老)へ御幣と提灯が返却され御幣が山車へと戻される

<山車巡行2日目:「本楽」(基本的に3月の第3日曜日)>

鞘から曳き出され若宮にて整列する。神事執行後お昼ごろ曳き出す。若宮西の県道を南行し、薬師町交差点を東進し、栄町交差点から駅前通りに入り、元薬師で整列する。 その後八幡社参道に整列後、神事執行、午後2時頃から坂上げを行う。 坂上げ完了後八幡社へ神楽を奉納する。そして八幡社境内にてからくりが奉納される。 からくり奉納後坂下ろしが行われる。

<龍神祈祷(水神祈祷とも言う):祭礼最後の神事>

南山は八幡社宮司を山車の後部に乗せて坂下ろしを行う。大鳥居を出ると東に向かい、 稗田小橋あたりで山車を海の方向に向け、各山の赤法被が揃ったところで「龍神祈祷」 が行われ、総ての神事が終了する。この知らせを受けて各山車は鞘に納められる。
※2:坂上げとは八幡社参道から八幡社境内に山車を一気に曳き上げる様
※3:坂下しとは八幡社境内から八幡社参道へ山車を下ろす様
※4:現在の乙川派出所辺り
★ポイント:※2~3が乙川祭りの見どころです。

御幣納めの儀

祭礼の本楽(二日目)の鞘入れ後山車に乗せてあった御幣は赤法被姿の中老長の肩に担がれ役提灯を持った全役員が山本宅へ車切と言う演目を囃子方が演奏しながら練り歩く。到着後は『けやり』と言う歌を山本と赤法被が御幣を揺らしながら歌い終わりと同時に山本宅内に引き込まれる。その後囃子の披露、鏡開きが行われその後に宴席が設けられる。その宴席最中に『はなび』と言う歌が披露され祭礼の終わりに向かう。

板洗い

山下ろし(山車の解体)がされ中老行司がお祭礼のまとめを評議員に報告が終わった後に開かれる宴席。宴席前に会計報告、翌年度の役員人事の承認などが行われる。この宴席をもって翌年度の役員へと引き継がれる。